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謎解き感覚で味を楽しめる鶏白湯ラーメン『らぁ麺 三湯(SANTAN)』【SALLiA’s リトリート第37回】
この世には、私たちの日常にすでに定着している食べ物が数多く存在している。
だが、言い方を変えれば、それは一目見れば大体どんな味かを想像できる食べ物ということになるだろう。
日本が”飽食の時代”と呼ばれて久しい中、どんな味かを一言で表せない料理というのは、稀有な存在といえるが、まさしく私はそんな一品と出逢ってしまった。
2021年12月にオープンした『らぁ麺 三湯(SANTAN)』の「雪姫」という鶏白湯ラーメンだ。実はカレー以外にも、ラーメンが大好きな私。
カロリー的な意味でもたまにしか食べられない”ご褒美飯”が、私にとってのラーメンなのだが、東京にいた頃は、お気に入りのラーメンを食べられる心に決めたお店があった。
だが、大分ではいまだ「これだ!」と、心を捧げたくなるラーメンに出逢うことができておらず、そんな私にとって『らぁ麺 三湯』の「雪姫」との出逢いは、まさしく”運命”といえるほどの衝撃的なものだった。
というわけで、今回は『らぁ麺 三湯』の「雪姫」との衝撃の出会いとともに、まずはその”味わい深さ”から、書き進めていきたい。
まず見た目一つをとっても、どんな味なのか?全く想像がつかないことは、読者の皆さんにもお分かりいただけるだろう。
例に漏れず、私も目の前に置かれた「雪姫」を見つめながら、思わず「豚骨?はたまた醤油ベースのスープ?」と、頭の中でさまざまな推理を巡らせてしまった。
いざ食べてみると、中細麺と呼ばれる適度な細さの麺が、きめ細かく泡立つスープに絶妙に絡み、さっぱりしながらもしっかり余韻のある味わいが、まず強く印象に残った。
さらに中央左側には鶏のむね肉、中央右側には豚肉のチャーシューが添えられており、どちらもパサつきや肉の臭みがなく、かつしっかり「肉です!感」も楽しむことができ、両者が単純になんとなく添えられているものではないことがすぐに伺えた。
この一杯の中に散りばめられた要素に触れるたび、全ての要素がこの一杯の世界観を構築する上で、外すことができないピースなのだと、実感していくことができるのだ。
「雪姫」というラーメンが、どのように構成されているのか?それを知りたくて、どんどん箸を進めるのだが、食べれば食べるほど、新たな一面が見えてきて、まるで謎解きを楽しむかのように味わいが展開していく。
とはいえ食べ進めていく中で、少し味に慣れ始めてきた瞬間はやってくる。
そんな時、スープの中から顔を出した玉ねぎと目が合い、蓮華で掬ってスープと味わってみた。程よい辛味と酸味でまろやかだったスープの印象が変わり、とにかく全てが繊細に計算された一杯だと私はすっかり恐れ入ってしまったのだ。
俄然、これを開発した人に興味が湧いて仕方がない。オーナーの三浦さんに早速、話を伺った。
「最初は、いわゆる醤油ラーメンや中華そばといった一般的なラーメン店をやろうと考えていたのですが、どうせなら食べたことがないような、大分の皆さんに新たな選択肢を提供し得るものにしたいと思ったんです。というのも、一時期東京に住んでいた時に、日常的に色々なラーメンの選択肢が当たり前のようにある中で、僕自身、多種多様なラーメンを楽しんでいた経験もあったからだと思います」(三浦さん)
確かに私も東京に住んでいた時は、どんなジャンルの食べ物にも、豊富な選択肢が伴っていたことで、外食が一つの娯楽として成立していた記憶がある。
だが大分では、チェーン店が多く、独創的かつそこでしか食べれないという希少性のある食の選択肢が少なく、最近では私の中で、外食に対するモチベーションが下がりつつあった。だからこそ、『らぁ麺 三湯』の「雪姫」との出逢いの衝撃は、ライターとしてはあるまじき物言いだが、筆舌しがたいほどの衝撃だったのだ。
大分県民にとって、未知の味を提供する。そんな三浦さんの意図が、大分という土地だからこそ、”食を娯楽としても楽しみたい”という潜在的なニーズと噛み合ったのだろう。
オリジナルメニューを開発するために、東京、大阪、名古屋、福岡などの主要都市のラーメンのトレンドなどを研究したという。
『らぁ麺 三湯』でメインメニューとなっているのは「雪姫」と、数種類の貝から旨みを中失した塩ラーメンの「貝太郎」、太麺の自家製麺に数種類の魚をブレンドした鶏白湯スープと醤油タレを合わせたつけ汁の「つけ湯」の計三種類だが、特に女性人気が高いのが「雪姫」だそうだ。
「僕自身も、お店を出す以前にこの周辺でも外食をし、リサーチしていたのですが、とにかく女性のお客様が男性のお客様に比べて少ないなという印象を持っていました。また女性にとってはラーメン屋に入店すること自体、ハードルが高いと感じていらっしゃる方が多いということは、肌感覚でもわかっていたので、とにかく女性のお客様にとってのお店に入ってラーメンを食べるということが、カジュアルに行えるように、メニューだけでなく内装も意識して作り上げていきました」(三浦さん)
「雪姫」は、ラーメンらしい満腹感がしっかりありながらも、基本が鶏の出汁がベースとなっているため、カロリーが気になる人にとっても安心して食べることができるラーメンだろう。
味のバランスも全て計算され尽くされたラーメンを、おしゃれなカフェのようで空間で、食べる。そのギャップも、ラーメン屋という概念を良い意味で壊してくれる、新感覚が伴っている。
そんな三浦さんの狙い通りに、『らぁ麺 三湯』の客層は女性が6割、男性が4割という比率なのだそう。
「別府大学の近くということで、オープン当初は学生さんのお客様が多いのかなと思っていたのですが、最近は家族連れのお客様や、ご年配のお客様5、6人で来店されるなど、客層の拡がりを実感しています。また県外の方や、インバウンドのお客様なども来店してくださることも多いのですが、どんな方にも、お財布にも優しく、お腹いっぱい食べて満足して帰っていただきたいので、原材料の高騰などには負けず、『らぁ麺 三湯(SANTAN)』のラーメンを楽しんでいただきたいと思っています」(三浦さん)
私は正直、ラーメン通といえるほど、決して舌が肥えているわけではないが、それでもこれだけは声を大にして言いたい。
人生で食べたラーメンの中で間違いなく、もっとも私に衝撃を与えたラーメンが「雪姫」だった。
ラーメンを食べることによって生まれる楽しみを経験してきた三浦さんだからこそ、大衆が求めるラーメンの真髄がブレることなく、『らぁ麺 三湯』でしか味わえない、独自性の高いラーメンが完成したのだろう。
触れるたび、何度も違う表情が見えてくる「雪姫」。
これはもう恋と言っても良いのかもしれない。
取材・文=SALLiA
電話:080-8131-7345
営業時間:11:00〜21:00
駐車場:7台(店舗前3台、店舗裏4台)
HP:https://www.instagram.com/ramen_santan/?hl=ja
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