まとめ記事・動画
働く人とコッペパンのポテンシャルを引き出す『コッペパン専門店 オリーブ』【SALLiA’s リトリート第30回】
皆さんは、コッペパンにどのようなイメージを抱いているだろうか？
食べることが苦手だった子供の頃の私にとっては、決して嫌いじゃないけど、食べていると途中でどうしても飽きてしまう、可も不可もないパン。
それが私にとってのコッペパンのイメージだ。
だからこそ、たまたま運転していて目に入った「コッペパン専門店」という文字が気になって気になって仕方がなかった。
「コッペパンの未知なるポテンシャルが、ここにはきっとあるんだ！」と、はやる気持ちを抑え、私は『オリーブ』さんに伺った。
中は広々としており、カウンターテーブルやゆったり座れるソファ席などがあって、落ち着ける空間が広がっている。
今や全国的にもコッペパン専門店も増えてはいるが、『オリーブ』がオープンした当初の2019年8月、大分県別府市にコッペパン専門店を作るというのは、最先端かつ画期的な試みだったといえるだろう。さらに『オリーブ』は、コッペパン専門店としての顔だけでなく、就労継続支援Ｂ型施設としての顔も持っている。
「元々は、介護施設の新規事業として立ち上げようというのが、最初のきっかけでした。どうしても就労支援の仕事だと、いわゆる内職のような業種に縛られてしまう傾向にあり、介護施設の利用者さん達から「飲食店に携わりたい」という声が多く上がっていたことも含めて、就労支援施設としての新しい試みをやりたいと思っていました。もともと東京で働いていた経験があり、東京で流行り始めていたコッペパン専門店を大分で始めるのはどうか？と考えた時に、コッペパンだと、中の具材を変えて提供できるというシンプルな工程が、障がいを抱えた方でも苦がなく行えるのではないか？と色々と結びつき、今の『オリーブ』ができました」（オーナーの甲斐さん）
また甲斐さん自身も「コッペパンに対するネガティヴなイメージ」を払拭したいという思いもあったそうだ。
「馴染みがある分、「地味で重たい」というネガティヴなイメージをコッペパンに抱いている方も多いようで、『オリーブ』の商品を食べてもらった時に、「コッペパンってこんなにおいしかったんだ！」「色々な食材とこんなに合うんだ！」と新鮮に感じてくださる方が多いですね。またコッペパン＝パサパサなイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、「フワフワで軽くて食べやすい」と、女性でも２、３個食べられています」
惣菜パン、菓子パンメニューは現在ともに１３種類で、中でも人気のメニューはベーシックな「ハムチーズ」「えびアボカド」や、スイーツ感覚で食べれて女性人気も高い「ブルーベリー＆クリームチーズ」「あんこ」だという。
コッペパンというと、私自身にも重いイメージがあったが、実際に食べてみるとコッペパン自体の甘味が、柔らかい印象を与え、惣菜メニュー、菓子メニュー両方に軽やかさをプラスしていて、これは確かに２、３個余裕でイケるやつだ！と感動すら覚えた。
私の中のコッペパンの概念が、良い意味で崩れ去り、まるで子供の頃、ガラクタだと思ってしまっていたものが、時を経て、実はプレミア価格がつくほどのレアなものだったという程の、魅力再発見と言わざるを得ない。
コッペパンにこのようなポテンシャルがあったとは…。
ローストビーフも、しっかり肉感を楽しめながらこれで280円という値段も、実にありがたい。どんな素材とも合うというコッペパンの思わぬポテンシャルが、「今度はこれも食べてみよう」「あれを食べたらどんな感じかな？」という、アトラクション性も生んでおり、実際に休日に家族で来た方は、まとめて10個も購入していくこともあるという。
「電話注文も受け付けており、注文をいただいてから一つ一つ手作りしています。お菓子として販売しているラスクも、ここで働く就労支援の利用者さんが一枚一枚大切に塗って作っているのですが、この場を通して、得意なことや不得意なことをそれぞれ補いあって、一つの商品を作り出しています。そういった実感が、『自分に自信がついた』と利用者さんのやりがいにも繋がっていると思います。また障がい者が作っているから可哀想という気持ちで買ってもらうのではなく、きちんとした商品としての価値を感じていただくことも、とても大切だと思っているので、働くことの大切さを利用者さん自身も学びながら、お客さんに喜んでもらうモチベーションに繋げていきたいですね」（オーナーの甲斐さん）
ともに働く仲間たちと協力して、お客さんに喜んでもらう商品を生み出す。
『オリーブ』という場所は、コッペパンの潜在的なポテンシャルを引き出すだけでなく、そこで働く利用者さんたちのポテンシャルを引き出す”居場所”でもある。
どこか懐かしさもありながら、新たな魅力を教えてくれる『オリーブ』のコッペパン。
ぜひ、ご賞味あれ。
取材・文＝SALLiA
電話： 0977-84-7884
営業時間：10:00〜17:00
定休日：日曜 ※その他不定
駐車場：5台
HP：https://www.instagram.com/olive_coppe_pan/
大分県／別府市／別府パン／大分パン／テイクアウト／コッペパン／ベーカリー
おすすめトピックス
カテゴリ
TOPICS
ドリップ編集部 
ハダ 
そうこ