大分のおいしいネタ、抽出しました。

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「ガチャッ…」

家族が寝静まった家中にドアの鍵の音が響き渡った。いつもは何てことのないドアの鍵を開ける音。

「ヤバい、起こしたか…?」

振り返り数秒反応を待つ。
良かった、起きていないようだ。
家族を起こさないようにそっとそっとドアを開けて外に出る。
家の中とは違う暑い外気とは反対に変わらない静寂。
ある記憶が蘇る。忘れもしない…中学3年だったか高校1年の夏休みの夜。いや、どっちやねん。
落合少年は全く同じ行動を取っていた。
当時この様にこっそりと家を抜け出して、街灯と点滅信号が真っ暗な夜道の中を照らす中、駅前のコンビニへ。
もう時効だから書こう。
青、赤、黄色、ピンク、白…
真っ暗な外とは対照的に明く涼しいコンビニの店内、その中でも色鮮やかな瓶入りカクテルが並ぶお酒売り場に立っていた。
その中から『ピンクレディ』というカクテルを1本買い、また真っ暗で蒸し暑い外の道を通って家へと戻った。
「愛だろ、愛。」という決め台詞とクールな中にオチで見え隠れするちょっとドジでコミカルなキャラクターを某人気俳優が演じていたテレビCMが格好良くて。そんな大人に憧れていた落合少年。

あれから27年。落合少年から落合商店へと変わったが、あの頃と変わらない街灯と点滅信号の夜道を駅へ向かった。

ただ、違うのは向かった先がコンビニではなく中津駅前にある深夜の日ノ出町商店街。

深夜でもまだ開いているお店があるのだ。
中には曜日にもよるが、朝までやっているお店も。

その中の1軒が『BLACK MARKET』。
中津の若者が集まる人気のお店で、落合商店も良く通った。
ここ数年、中津の夜の街に出向いていなかったのでおそらく客層も変わっているだろう。
恐る恐る中を覗いて確認。

当時通っていた頃とは違い、よそ者の気持ちで中を覗く

当然のように世代交代はしていたが、多くの若者で賑わっていてグラス片手に思い思いの話しをしている。

店内を進んでいくと、駄菓子が並べられたカウンターの中でマスターの通称、『すけさん』がこちらに気付く。

どんなに店内が賑わっていようと、客の存在に気付く。相変わらず敏感な男だ。
この街の顔みたいな男で中津の夜の街で毎年成人を迎えた若者が、このお店を訪れては『すけさん』と仲良くなりそしてお客さん同士で仲良くなり…と交流が広がっているのだ。

缶ビール各種 500円

久々に伺った落合商店へ、ビールを出してくれた。こんな気遣いも嬉しい。そして深夜に食べるカレーはまた格別ということで、注文したのがこれ。

「牛スジキーマカレー」800円

オープン当時から駄菓子バーの面も併せ持っていて、今もそれは変わらない。
居合わせたお客さんたちも駄菓子を選ぶ顔は少年少女に戻っていた。

そして、落合商店も落合少年に戻る時。
懐かしのスーパーファミコンのソフトがたくさんあるのだ。

「くにおくんシリーズ」や「ボンバーマン」、「マリオカート」これらはごく一部

なんとスーパーファミコンのプレイは無料。
あの頃、中津駅の駅前デパートや、ゲームセンターで小銭を握りしめていたのが嘘のような瞬間。今の若者に交じって42歳の中年がゲームで少年に戻っていた。

たまらない。まるで夏休みの夜、友達の家に忍び込んだようだ。
若者たちにマリオカートで俺のドライビングテクニックを魅せつけてやった。
あの頃、コントローラーを握りしめて磨き上げたドライビングテクニック。
誰にも負けないハンドルさばきに若者たちは痺れていることだろう、視線が背中越しに痛いぜ…。
見事ぶっちぎりでゴールを決めた!!!今の俺は最高にかっこいい。
キメ顔で振り返ってみると…若者たちの姿がない。
「あ、あれっ…?」

すけさんの元に集まってくるのは、若者だけではなく当時通った若者など幅広い世代も。

落合商店と同世代、中津が生んだ元Jリーガー「浦本雅志」氏も来店

まさかの嬉しい出会いにすけさんも交えて話しが弾んだ。
この店で過去にも新たな出会いや懐かしい再会、中津在住の海外の方との交流もあった。

何も考えずに毎日笑って過ごせた少年時代に戻りたい落合商店。

中津で少年時代にタイムスリップできるお店。
しかもお酒を堂々と飲める状態でのタイムスリップだ。

当時わだかまりがあった同級生ともここで再開し、笑って仲直りできたこともある。
時とお酒の力は凄い。

冒頭に書いた落合少年が買ったピンクレディの話し。
あの後家に帰って、ワクワクしながらピンクレディを一口飲んだ。
が…眉を歪めて確かめるようにもう一口…。
あの夜「俺は大人になっても酒は飲まない。飲みたくない。」と思った。
ところが今はどうだろう…バンバン飲んでいる。
飲み過ぎてお腹だって出てしまった。あの時憧れて思い描いていたクールでイカした大人になれているのだろうか。
それはわからない。

ただ、ひとつ言えることは
あの時のピンクレディ、当時はまだ少年で良さがわからなかったのだ。
今なら分かり合える気がする。
コンビニのお酒売り場を彩ったあの瓶入りのカクテルバー、
令和の今、復活してほしい。『BLACK MARKET』で仲直りしよう。

BLACK MARKET(ブラックマーケット)
住所:中津市島田374-9
電話:0979-77-9190
営業時間:21:00~LAST
定休日:月~木曜※平日は予約制
駐車場:なし
HP:https://www.instagram.com/sukehisa/
<キーワード>
大分県/中津市/中津駅/中津バー/ゲーム/おでかけ/一人飲み/ナイトタイム

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