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謎のベールに包まれた紅茶専門店。そこにはインドと紅茶を愛する “マハラ二“との素敵な出会いがありました
ポカポカ陽気が続く、3月の大分市府内町。平日のお昼時はランチへと繰り出す会社員や買い物途中の女性たちが行き来しています。
かくゆう私もランチを求めて出たものの、まだお腹も空いていないし、なんだが気持ちが上がらない。世間は気が重たくなるようなニュースばかりだし、気分転換がしたいなぁ、とアテもなくふらふらしていると、“紅茶専門店 マハラニ”と文字の入った看板を見つけました。
このお店、ずーっと昔からあるような気がして気になってはいたものの、入ったことがありませんでした。2階にあるお店は謎めいていて、「もしや髭を生やしてターバンを巻いたインド人店主が営んでいたりして…?」なんて勝手に想像する始末。これは今こそ行くべきじゃないのか?と、引き込まれていくように階段を上がっていきました。
不思議な雰囲気を醸し出す入り口にドキドキしながら足を踏み入れると、
ノスタルジックな空間が目の前に現れました。ここは本当に大分の府内町…?
「あら、いらっしゃい」と優しい声をかけてくれたのは、この店の店主・楠さん。「友達に頼まれていた裁縫をしていたのよ」と言いながら、ソファから立ち上がって迎え入れてくれました。
珍しいものばかりが並ぶ店内は異国情緒に溢れており、まるで別世界へトリップしてしまったかのようです。所狭しと並ぶカシミヤのストールや雑貨は、インドから仕入れたものだそう。
「お好きなところに座って。さぁ、何にしましょう?」と楠さん。
インドの飲み物といえば、“チャイ”ですよね。でもメニュー表に記載されていなかったので、「チャイってありますか? 」と尋ねると、「ありますよ」と言って、準備を始めてくれました。
水を沸騰させてから茶葉を入れ、10種類ものスパイスミルクを注いでふつふつと温めます。沸騰する寸前に火を止めて茶コシでこして完成です。
「さあ、どうぞ」。
かわいらしい茶器に注がれた一杯は、茶葉の色が溶け込み、優しい色合いです。一口飲んでみると、ふわっとスパイスの香りが漂い、まろやかな口当たり。
「マサラティーはね、たくさんお砂糖を入れるとさらにまろやかになりますよ」と楠さん。目の前にある角砂糖をとぽとぽ入れてかき混ぜてまた一口飲むと、さらに優しい甘さとスパイスが口の中で広がります。一口、もう一口と飲んでいくほどに、心も体もほっとほぐれていくかのようです。
「こちらも一緒に召し上がって」と持ってきてくれたのは、チャイを準備すると同時に焼いてくださった「チャパティ」。小麦粉を練ってつくられたチャパティは平べったく、インドの主食として親しまれているものです。「今日はかりんとうだけど、あんこや和菓子とも合いますよ」と楠さん。
「みんなチャイ、チャイって言うけど、チャイっていうのは“お茶”を意味しているの。正確にはマサラティーね」と教えてくれました。ちなみに店名の『マハラ二』の意味は…
「“マハラジャ”がインドの王様のことで、マハラ二は女王様っていう意味なの」。なるほど、じゃあこのお店では楠さんのことですね! と言うと「そうねっ」とにっこり笑顔の楠さん。
楠さんは神奈川県川崎市出身。旦那さんの転勤で50年前に大分に越してきたとのこと。40年前、友人に「インドへ旅行に行こうよ」と誘われたのがキッカケで訪れた現地で、紅茶の魅力に引き込まれていくうち、府内でお店をオープンさせるまでに至ったんだとか。
「最初はね、インドにはしぶしぶ行く感じだったのよ。私の初めての海外旅行がインドだなんて乗り気じゃなかったんだけど(笑)。でもインドの人たちの優しさに触れて友達もできて、どんどんインドが好きになっていって、今では毎年必ず行っているの」と教えてくれました。
マサラティーを片手に楠さんとインドの思い出話やたわいもない会話を楽しんでいるうちに、なんだか元気になってきました。そろそろ会社に戻ろうとした私に、「午後からもお仕事頑張ってね、またよかったらいらして」と店先までお見送りをしてくれました。心がまどろむひとときを過ごし、気分もリフレッシュすることができました。楠さんとおしゃべりをしながら、インドで直接買い付けた茶葉で淹れた紅茶が味わえる「マハラニ」で、プチトリップ気分を味わいませんか?
大分市/紅茶専門店/紅茶がおいしい店/喫茶店
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